[ テーマ: 消費税 ]
2008年8月29日08:00:00
■簡易課税制度による計算方法
簡易課税度とは?
小規模事業者の消費税計算の事務負担を考慮して、設けられた制度のことです。
■簡易課税方式とは?
課税売上高から納付する消費税額を計算する制度のことです。
課税売上に係る消費税等の額(課税標準×4%)に一定率(みなし仕入率・※業種ごとに%が違います)を掛けて算出した額を「支払った消費税」とみなして、納税額を計算する方式です。
原則課税の計算は、課税仕入に係る消費税額の計算が煩雑なので、原則課税方式よりも「簡易」な方式というわけですね。
・仕入控除税額=課税仕入に係る消費税等の額×みなし仕入率
・納付する消費税=課税仕入に係る消費税等の額ー仕入控除税額
◇また、簡易課税制度を選択するには、以下の要件を全て満たす必要性があります。
①簡易課税制度選択届出書を提出していること。
②基準期間における課税売上高が5000万円以下であること。
(※届出書提出以後は、基準期間における課税売上高が、5000万円以上になった場合は原則課税、5000万円以下になった場合には必ず簡易課税が適用されます)
・提出届出書:「 簡易課税制度選択届出書」
・届出書の提出時期:適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日までに提出すること。
届出書の効力:「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出するまでは効力が存続します。
適用時期:簡易課税制度選択届出書を提出した日の属する課税期間の翌期間以後の課税期間
長所:仕入れ税額控除の計算をしないので、計算が簡単に行えます
短所:実際の仕入れに係る消費税額が売上げに対する消費税額を上回った場合においても、消費税の還付を受けることが出来ません。
簡易課税のメリットは、とにかく計算記帳などの事務手数が簡単なことです。
それ以外にメリットがある例としては、サービス業等で仕入が少ない、もしくは全くないような場合です。
例えば、人件費に対し消費税はかからないので、建築設計事務所などのサービス業等、経費の中の人件費割合が大きいところは、仕入にかかる消費税が少ない為、原則課税による計算では、消費税の納税額が多くなってしまいます。
そういった場合は、簡易課税によるみなし仕入率を使った方が有利になるわけですね。
ちなみに原則課税と簡易課税のどちらが得なのかを、実際納税額を計算してから選択する事はできません(届出書の締切を見ていただければ分かると思いますが・・・)。
どちらの計算方法にするのか、あらかじめ今後の経営試算を予測した上で選択する必要があります。
■簡易課税の計算方法
・課税売上高から納付する消費税額を計算します。
・課税期間における課税標準額に対する消費税額に、みなし仕入率を掛けて計算します。
簡易課税の計算は以下のように行われます。
みなし率は、業種により%が変わります。
・第一種事業:卸売業・・・90%
・第二種事業:小売業・・・80%
・第三種事業:農業・漁業・林業・工業・建設業・製造業・電気業・ガス業・熱供給業及び水道業・・・70%
・第四種事業:第一~第三事業、第五事業以外の事業(飲食店・金融・保険など)・・・60%
・第五種事業:不動産業・運輸通信業・サービス業・・・50%
◇2種類以上の事業を営む事業者が仕入控除税額を計算する場合、課税売上高をそれぞれの事業ごとに計算する必要があります。
売上高を事業の種類ごとに区分していない場合は、事業のうち最も低いみなし率を適用して仕入控除額を計算する事になってしまいますので、控除額に差が出てしまいます。
めんどうくさがらず、事業ごとの区分はきちんと行っておいた方が、後の計算も楽になりますし、支払う消費税額が多くなってしまうことも防げます。
すべての事業を行っている場合の例を式にしてみましたが・・・ややこしいですね。
◇簡易課税の注意点は?
(1)2年間継続適用しなければいけません。
(2)簡易課税をやめる場合は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を「適用をやめる課税期間の開始の日の前日まで」に所轄税務署長に提出しなければいけません。
(3)簡易課税を選択している場合、「原則課税」で計算した時の納付消費税額が低くなる場合でも、簡易課税で納付消費税等の計算をしなければいけません。
では最後に、簡単に「原則課税」と「簡易課税」の計算方法の違いの図を。
[ テーマ: 消費税 ]
2008年8月22日08:00:00
■原則課税と簡易課税について
消費税の納税額は「預った消費税」から「支払った消費税」を差引いて計算するのが基本です。
そして、その納税額の計算方法には「原則課税方式」と「簡易課税方式」という2つの計算方式があります。
今回は原則課税・次回は簡易課税の説明をさせていただきます。
■原則課税方式とは?
「預った消費税」から「支払った消費税」を差引いて計算する方式です。
通常は全ての事業者がこの方式により計算します。
◇納付する消費税=預かった消費税ー支払った消費税
長所:仕入に係る消費税額が売上に係る消費税額を上回った場合には、消費税の還付を受けることが出来る。
短所:仕入に係る消費税額の計算が煩雑となる。
原則課税方式は、「課税売上割合」によって計算方法がさらに分かれます。
■原則課税の計算方法
消費税の納税額の計算方法は、売上時に「預かった消費税」から仕入時に「支払った消費税」を控除した残りの消費税を納付するのが原則的な方法です。
この原則課税では、「支払った消費税」の把握が重要になります。
・原則課税は課税売上割合(課税売上と非課税売上との合計額のうち、課税売上の占める割合)によって計算方法が変わってきます。
消費税の計算方法
(1)課税売上高の計算
100
税込課税売上高×--------
105
(2)課税標準=課税売上高の千円未満を切り捨て数字です
(3)消費税額の計算=課税標準×4%
(4)控除税額の計算(※課税仕入に係る消費税額の計算)
4
課税仕入(税込み)×-----------
105
(5)差引税額の計算=(3)-(4)(※100円未満切捨て)
(6)地方消費税の計算=(5)×25%
(7)納付する消費税額=(6)+(7)
※上記の計算は、予定納税額がないものとして計算しています。
■納付する消費税額の計算構造を図にすると以下のようになります。
課税売上割合の計算
課税期間の課税売上高(税抜き)・・・(課税売上・免税売上)
課税売上割合= --------------------------------------------------------------------------------------------
課税期間の総売上高(税抜き)・・・(課税売上・免税売上・非課税売上)
※それぞれの売上高には、貸し倒れになった売上高を含みます。
※売上について返品を受けたり、値引き・割戻しなどを行った場合にはそれらにかかわる金額を控除します。
上記の計算で、課税売上割合が95%以上であれば、仕入時に支払った消費税を、売上時に預かった消費税から全額控除することができます。
◇課税売上割合が95%未満の場合、計算方法に選択肢があり、個別対応方式、もしくは一括比例配分方式で計算します。
事業者は支払った消費税の算定を次のいずれかの方法により計算することになります。
●個別対応方式
仕入時に支払った消費税を、
(1)課税売上に対応する支払った消費税・・・仕入控除税額
(2)非課税売上に対応する支払った消費税・・・控除できない消費税額
(3)両方に共通して対応する支払った消費税・・・課税売上割合で案分
◇仕入控除税額=(1)の消費税額+(3)の消費税額×課税売上割合
※税務署長の承認を受けた時は「課税売上割合」にかえて「課税売上割合に準ずる割合」により仕入控除税額を計算する事ができます。
●一括比例配分方式
・仕入に係る消費税額(一括比例配分方式)仕入に係る消費税額を課税売上割合によって按分し、仕入控除税額を計算します。
個別対応方式に比べて計算方法は簡単なものになります。
・課税期間中の課税仕入の消費税額が、上の(1)(2)(3)のように区分されていない場合
・区分されていてもこの方式を選択する場合
に適用します。
◇仕入控除税額=課税仕入に係る消費税額×課税売上割合
※この方式により課税仕入等の税額の計算を行っている事業者は、課税売上割合に準ずる割合を適用できません
[ テーマ: 消費税 ]
2008年8月15日08:00:00
■では、課税の対象となる取引(=課税取引)とはどんなものなのでしょうか?
課税対象は、以下の要件をすべて満たす取引になります。
□国内取引であること
□事業者が事業として行うものであること
□対価を得て行うものであること
□資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供である事
■輸出免税取引
事業者が事業として行ったものであっても、日本から輸出として行われる資産の譲渡などについては、
「輸出免税取引」として消費税が免除されます。
■課税対象外取引
・海外出張旅費(→国内の取引ではないため)
■非課税取引
消費税の対象となる取引を満たしても、下に記載した項目は消費税の性格・社会政策的な配慮を理由に、消費税を課税しない「非課税取引」とされています。
ただし、非課税取引にならない場合もありますので、その場合の注釈も入れてあります。
・土地の譲渡及び貸付け
・社債・株式などの譲渡
・利子、保証料、保険料
・有価証券、有価証券に類するもの(国債・貸付金・預金・売掛金など)、支払手段(銀行券・小切手
・郵便為替など)の譲渡
(カード会社の手数料も「有価証券に類するものの譲渡」に該当するため非課税となります)
・郵便切手、印紙及び証紙、商品券などの譲渡
(使用した場合は課税となります)
・国、地方公共団体等の行政手数料
・国際郵便為替
・社会保険医療
・公的な医療保障制度に係る医療施設などに類する資産の譲渡など
・介護保険法の規定に基づく、介護サービス費の支給に係る介護サービスなど、また社会福祉法に規定する社会事業
・医者などによる、助産に係る資産の譲渡など
・埋葬料・火葬料
・身体障害者用物品の譲渡等
・学校の入学金、授業料など
・教科書用図書の譲渡
・住宅の貸し付け
(社宅(家賃)は住宅の為非課税ですが、事務所(家賃)は課税になります)
■消費税の取引の分類
◇消費税の取引の分類は以下の7つに区分されます。
(輸出免税取引以外は、それぞれ2種類あるためです)
・課税取引(消費税を預かる側・支払う側)
・輸出免税取引
・課税対象外取引(消費税を預かる側・支払う側)
・非課税取引(消費税を預かる側・支払う側)
■輸入取引
輸入に関しては消費税の課税対象となる取引と、非課税の取引の2種類に分類されます。
また、参考までに勘定科目の「こういったものは消費税の分類の、どこに区分されるのか?」概ね該当するものを記載します。
・旅費交通費・・・課税仕入(海外出張費は「非課税仕入・対象外仕入」
・通信費・・・課税仕入(国際電話、国際郵便は「非課税仕入・対象外仕入」
・運賃・・・課税仕入(海外運賃は「非課税仕入・対象外仕入」
・福利厚生費や交際費・・・基本課税仕入ですが「香典・祝い金・贈答用の商品券」は「非課税仕入・対象外仕入」となります。
・地代家賃・・・地代・社宅家賃は、「非課税仕入・対象外仕入」
(※事務所家賃・舗装されている駐車場は課税仕入になります)
・寄付金・・・非課税仕入・対象外仕入
・貸し倒れ損失・・・貸し倒れに係る消費税は「課税仕入」、売掛債権以外は「非課税仕入・対象外仕入」
--営業外収益--
・仕入割引・・・課税仕入
・雑収入・・・内容確認により課税仕入(現金過不足の場合は「対象外売上」
・土地賃貸、社宅家賃による収入・・・非課税売上
--営業外費用--
・手形売却損・・・「非課税仕入・対象外仕入」
・売上割引・・・課税売上
・雑損失・・・内容確認により課税仕入(現金過不足の場合は「非課税仕入・対象外仕入」
・固定資産除去損、損害賠償金・・・「非課税仕入・対象外仕入」
・建物、建物付属設備、機械装置、車両運搬具・・・取得時に課税仕入取引
・土地・・・仲介手数料は「課税仕入」になりますが、土地そのものは「非課税仕入・対象外仕入」となります。
・ソフトウエア・・・購入、外注などの場合は取得時に「課税仕入」となりますが、社内制作の場合は「非課税仕入れまたは対象外取引」となります。