[ テーマ: 小話 ]
2006年10月26日11:30:00
税務署の調査ってあまりなじみがありませんよね。
今回はこんな質問をいただきましたので、お答えします。
質問内容:
従業員20~30人程度の会社で経理を担当しています。
先日決算時に税務署から税務調査に伺いたいという連絡がありました。
①税務調査とはどのようなことを調べるのでしょうか?
②事前に準備しておくことはありますか?
こういった場合、税理士に委託している場合は必ず調査に立ち会いますので、必ずご連絡下さい。
(通常、税理士に税務申告を委託している場合、税理士に税務署から調査に伺いたいという連絡があります。)税務調査の日程は、会社の日常業務に著しく不都合がある場合、調整に応じてもらえます。長く延期することは無理ですけどね。まずは、相談してみましょう。
具体的にお答えします。
まず会社側で準備すること
1.会社のパンフレット等を準備しましょう。会社の概要や現状をまず説明しますので、用意しておいた方がよいでしょう。
2.最初に現金の残高が、現金出納帳(帳簿)残と合っているか調べられますので、必ず前日までの取引は全て記入しておき、現金有高(レジや金庫の中身)と帳簿の残高が合っていることを確認してください。
また、現金と共に通帳も全て用意しておいてください。
これが合っていないと、基本である現金出納帳がいい加減だと思われてしまい、印象が悪くなります。
3.調査対象分の(通常最近3年分)、現金出納帳、総勘定元帳、通帳、小切手帳、手形帳、売上帳、仕入帳、領収証、請求書、棚卸明細、固定資産台帳、給与台帳、建設業であれば工事台帳、出面帳などの帳簿類を言われたらすぐに提示できるようにしておいてください。
4.現金取引があれば、発行した領収書の控えも提示する必要があります。
それが売上帳等の帳簿に合っていないと質問されますよ。誰にいくらの金額の領収書を渡したか控えが残る領収書用紙を使いましょう。
(不正使用はもちろん厳禁です。)
5.株主総会議事録、取締役会議事録、重要な契約書等がそろっていることを確認します。
特に、外部に手数料を支払っている場合や役員・従業員等の取引については、契約書の提示が必要な場合が多いので特に留意してください。契約書等の印紙の貼付を再度確認してください。もれているとたいへんです。
6.過去3年間の粗利益率に相当違いがあるような場合はその根拠を説明できるようにしておいてください。粗利率が前年と5%~10%違うのは特殊事情があるはずなので、税務署はその辺に注目するのですが、帳簿等を確認し売上計上洩れがないとすると在庫や仕入の過大計上を調べます。
硬くなることなく、会社の不備をチェックしてもらうという気持ちで対応しましょう。
[ テーマ: 源泉所得税(年末調整) ]
2006年10月23日10:25:00
今回は、源泉徴収簿の作成と年税額の計算です。
① 年末調整に必要な書類が揃ったら
・ 源泉徴収簿に毎月の給与
・ 給与から天引きされる社会保険料、算出税額
を記入します。前職分の給与や季節ごとの賞与は忘れがちなので記入漏れがないよう注意します。
② 1年間の給与が決まったら、早見表により給与所得控除後の金額を求めます。
・給与天引きの社会保険料
・保険料控除申告書
・配偶者特別控除申告書
・扶養控除等申告書
に基づき各種の所得控除の金額を求め、源泉徴収簿に転記します。
※基礎控除額の38万円を加算し忘れないように!!
③ 給与所得控除後の金額から所得控除額の合計額を控除します。
この金額が課税所得金額で、この金額に税率を掛けて1年間の税額を算出します。
④住宅借入金等特別控除がある場合
明細書で計算した控除額を控除します。
最後に、年末調整定率控除額(住宅借入金等特別控除を控除した税額の10%相当額 ただし12万5千円を限度)を控除します。18年分の所得税から定率減税が2分の1に縮小されました。19年分から定率減税がなくなります。
以上の計算で年税額が確定します。
過納額の還付と不足額の徴収について
■過納額の還付
年末調整によって計算した年税額より、預かっていた源泉徴収税額が多い場合には、12月の給与の支払い時(翌月現金で還付する場合もあります)に過納額を本人に還付します。
■不足額の徴収年末調整によって不足額が生じた場合、原則12月の給与の支払い時にその不足額を徴収します。
徴収税額の納付
預かった徴収税額は、翌年の1月10日(一定の届出書を提出している場合には、翌年の1月20日)までに、所定の納付書を使って国に納付しなければいけません。たとえ還付が多額のため納付税額が0となる場合であっても、納付書は0金額で税務署に直接提出または郵送しなければいけません。
源泉徴収票の交付
年末調整が終わったら各人の源泉徴収票(給与支払報告書)を作成します。通常役員の場合には4枚、社員の場合には3枚作成します。1枚は本人に、2枚は市区町村に提出します。一定の役員等(その年中の給与等の金額が150万円を越える役員及び500万円を超える社員(年末調整をしたものの場合))については、源泉徴収票1枚を所轄税務署に送付します。
翌年1月1日に在籍しない社員等についても市区町村に給与支払報告書を提出する必要があります。
19年1月提出分からの改正ですので注意が必要です。
[ テーマ: 源泉所得税(年末調整) ]
2006年10月19日09:16:00
【配偶者控除】
配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば控除額は38万円です
・・・配偶者の年間給与収入103万円以下にこだわる理由・・・
配偶者のその年の給与収入が103万円以下であれば、対応する給与所得控除額65万円を差し引くと合計所得金額が38万円以下となり、配偶者控除が受けられます。
(例)給与収入が100万円の場合
▲計算式 100万円-65万円=35万円
合計所得金額の38万円以下となるので、この場合は配偶者控除が受けられます。
配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が38万円以下の人について、38万円の所得控除をするものです。
しかしこの制度は配偶者の合計所得金額が38万円を超えるといきなり控除額が0円になってしまいます。
また配偶者本人にも(基礎控除以外に所得控除がなければ)所得税がかかります。
つまり、38万を超えた場合、配偶者の収入増よりも本人の税金増の方が大きいことが起こりうるわけです。特に、本人の所得が多い場合に注意が必要です。
これを補うのが、配偶者特別控除の制度です。
【配偶者特別控除】
配偶者の合計所得金額が38万を超えると徐々に少なくなりますが、76万円までは控除額があります。
(下図参照)
平成15年度までは、合計所得金額が38万円以下の場合にも配偶者特別控除が認められていましたが、この部分は、平成16年1月に廃止されました。
つまり、配偶者特別控除、もしくは配偶者控除どちらかのみの控除となったわけですね。